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お前らの世界に俺を巻き込まないで

last update Last Updated: 2025-04-05 07:31:32

「お前! ど、どうしてここに!?」

目を見開いて心底驚く圭次郎へ、俺は笑って誤魔化してみる。

「あ、いや、ちょっと寝過ごして遅刻したら、戦闘ごっこしてたから、つい見入って―」

「はぁ? 戦闘ごっこ、だと……チッ、見えないっていうのは厄介だな」

苛立たしげに舌打ちをしたと思ったら、圭次郎は俺の手を掴んで走り出した。

「な、なんだよ、急に!」

「いいから来い! 全力で走れ!」

圭次郎の勢いに呑まれて、俺は言われるままに走る。

黒尽くめの男が追おうとした瞬間、圭次郎はソイツに手の平を向けて口早に呟く。

「火と水の精霊よ、互いに交わりて我に身を捧げよ……もっとだ……よし、続けろ」

呪文っぽいものを圭次郎が言い出した途端、男の足が止まり、呻きながらその場でバタバタと腕を振り出す。

まるで煙にやられて悶絶しているような……迫真の演技だ。あまりの名演っぷりに、見えないはずの煙が見えてしまいそうだ。

思わず俺は感嘆の息をついた。

「スゲー演技力……演劇の養成所とか通ってそう」

「呑気なことを言うな! いくらこちら側の住人でも、直撃を食らえば無事では済まないからな!」

未だに緊張感が途絶えていない圭次郎が、俺の呟きを聞いて睨みつけてくる。

いつも誰に対しても興味なしで冷たい顔しているヤツとは思えない顔だな。

こんなに必死の形相を俺に向けてくれるなんて新鮮だ。圭次郎には悪いけれどワクワクしてしまう。

でも俺、劇とか苦手なんだよなあ。

国語の朗読とか棒読みしかできないし……。

悪い、圭次郎。俺はお前の世界には入れないから。

だから俺を巻き込もうとしないでくれ。

俺は走るのをやめて、圭次郎を引き止めた。

「お前の邪魔して悪かった。俺、あっちの西階段使って教室行くから……今日のこと、誰にも言わ

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  • 寄るな、触れるな、隣のファンタジア~変人上等!? 巻き込み婚~   百彩の輝石の力

    ◇◇◇夜になっても俺がベッドでゴロゴロしていると、「やっていることが昼間とまったく変わってないな、太智」なんの前触れもなくケイロが部屋に入ってきて、俺はビクッと肩を跳ねさせる。「急に入って来るなよ! せめて一声かけてくれ。親しき仲にも礼儀ありって言うだろ!? お前だって俺が不意打ちで部屋に来たら困らないか?」「驚きはするが、歓迎するな。お前から積極的に夜這いへ来てくれるのだからな、喜んで相手をするぞ」「なんでもかんでも夜の営みに繋げるなぁ……どうしてこんなにヤりまくってるのに、まだ身の危険を感じなくちゃいけないんだよ」筋肉痛を全身へ響かせながら体を起こした直後の問題発言に、俺はベッドの上でうな垂れる。そして密かにケイロが部屋へ来た途端、いつも通りの空気になったことを驚く。昼間に悠から教えてもらった話を延々と考えて、ついさっきまで引きずって胸が重たくなっていたのに。あっという間に元の調子を取り戻して、何事もなかったようにやり取りできてしまう。まだ出会って二か月が経過するかしないかの期間なのに、もう夫婦の空気が板についている。ケイロについて知らないことが山ほどあるっていうのに……。俺は頭を掻きながらケイロに尋ねる。「今日はどこへ行ってたんだ? もしかして、あっちの世界?」「ああそうだ。面倒なことに定期的に報告しなくてはいけなくてな……奪われた百彩の輝石は、我が国にはなくてはならない秘宝。早く取り返さなくては、これからの行事や国の大事にも影響が出てくる」「百彩の輝石ってそんなにすごいものなのか?」ケイロたちがこっちに来た目的の、百彩の輝石。さり気なく尋ねてみると、ケイロは小さく頷いた。「ああ。遥か昔、精霊王が親愛の印にと祖先へ贈ったものらしい。それを覇者の杖にはめ込めば、その杖を手にした者はすべての精霊を使役し、あらゆる魔法を可能にする」「魔法使いの最強装備じゃねーか。そりゃあ持っていかれたら困るよな」

  • 寄るな、触れるな、隣のファンタジア~変人上等!? 巻き込み婚~   それだけでいいのかよ!?

    『あー、ムリムリ。三日に一度は中に出されないとダメなんだぞ? 体も頭もおかしくなるって』『え……? 三日? 中に出されるって……?』『え? 悠は違うのか?』『僕は……一週間に一度、キスしてる。舌を絡め合う濃厚なやつ』思わずスマホの画面を見ながら俺は固まる。そして動揺任せに素早く文字を入力した。『はぁぁ? それだけでいいのかよ!』『それだけって……ベロチューだよ!? しっかり唾液飲まなくちゃいけないんだよ!?』『俺のに比べたらかなりマシだから、それ! 時間かかんねぇし、体に負担もかからねぇし、キスなら挨拶みたいなもんって割り切れるし!』『割り切れないよ! あんな濃厚なの、雰囲気出されながら丁寧に毎回されたら……』悠の困惑が伝わってきて、不意に保健室で指輪を見せてきた時のことを思い出す。巻き込まれたのに、相手と夫婦であることを受け入れていた――俺と同じだ。悠の本心が分かって、俺はため息をついた。だよなあ……ベロチューでも意識しちまうよなあ。そりゃあ中に出されちゃったら、意識するどころじゃなくなるよなあ……。思わず遠い目をして現実逃避しかかった俺を、ピロリン、と返信の通知音が引き止める。『太智は何をされたの?』『口では言えないスゴいこと……察して。頼む』『あ……え、最初から?』『最初から。もうお婿に行けない』『どうしてそんなことを……そこまでしなくてもいいのに』頭の片隅でチラついていた疑問を悠に書かれ、俺の中の戸惑いが一気に膨らむ。抱かなくても良かったのに、なんで嘘までついて俺を抱いた?今はちゃんと両想いで、心が伴っている。昨日あれだけ確かめ

  • 寄るな、触れるな、隣のファンタジア~変人上等!? 巻き込み婚~   悠の事情

    『大丈夫。昨日、ケガとかなかった?』『ケガはないけれど、今スゲー筋肉痛。ケイロに無理された』『大変だよね……だって逆らったら何もしてくれなくなって、自爆しちゃうもんね』悠も俺と同じような状態なのに、その中身はきっと雲泥の差がある。好きな相手でも延々と抱かれ続けるの大変なのに、そうじゃない相手だったら苦痛でしかないよな。今までの苦しみを想像して、俺はスマホを見つめながら顔をしかめる。そして悠を巻き込んだヤツに怒りを覚えながら、新たなメッセージを送った。『どうしてマイラットってヤツと悠が結婚することになったんだ?』『マイラット……そっか、あの人の本名、そんな名前なんだ』『え? 知らないのか?』『教えてくれないんだ。仮初めの結婚だから、いつか別れることになる者の名前など知らなくてもいいって』『やけにドライなヤツだな』『少し頭が硬い人なんだよ。いつもは彼の宿主になっている人の名前で呼んでる』『宿主って誰だ?』『それは言えない。分かったら王子に教えるんだろ?』『うん。悪いけど……』『王子に知られたら、彼も、宿主も殺される。ごめん、それだけは嫌なんだ』悠のメッセージにドキリとする。ケイロたちは裏切り者は許さないと言っているし、マイラットがこっちの人間に同化したことも説明は受けた。裏切り者を捕らえた後のことを考えていなかったから、その末路を聞いて今さら背筋がゾッとした。『ケイロたちは百彩の輝石っていうのを取り戻しに来たんだ』『やっぱりそうなんだ』『だからそれを返したら、殺されるのは避けられるかもしれないぞ?』『どうだろう……その石がないと同化ができないって言ってたから、返せないと思う。同化していないと宿主が死んじゃうから』『ええ!?』『元は瀕死だったその人へ彼が乗り移ったんだ。僕はそ

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